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REIT JAPAN 2019年インタビュー CBREグローバルインベスターズ(後編)

松本道雄様

CBRE グローバルインベスターズ・ジャパン株式会社
取締役 投資企画部長

Michio Matsumoto| Director, Head of Acquisitions
CBRE Global Investors Japan K.K.

今回は、CBREグローバルインベスターズ・ジャパン株式会社
取締役 投資企画部長の松本道雄様に、日本のREIT市場について、お話を伺いました。

<後編> なお、 前編は、こちらへ

RJ>CBREさんの日本の投資家からの認知が進むと、より多くの日本の機関投資家を引き付ける可能性がありますよね?

そういう意味では、日本の投資家さんのお金を海外に投資というのは結構進めていますね。投資家は海外で、投資家対応チームがコラボレーションして当たっています。日本の年金基金や保険会社さんは、海外の我々の商品などに投資して頂いています。

RJ>投資スコープについて、

マーケットとして買い時といったら変ですけれども、マーケットに即したものを時代にあわせて投資家さんと買っていきます。

RJ>CBREは世界規模のデータを持っているのでやはり競争力がありますか?

はい。他の企業も私たちのデータを同様に調査することができますが、もともと持っている情報は多いので、まあ強いかもしれないですね。それに手軽にアクセスできるので。

RJ>海外は圧倒的につよいですか?

そうですね。日本で海外の不動産投資にお金を託せる会社はそんなに数はないかとおもいます。

RJ>面白いトレンドはありますか? REIT、物流、不動産テック、倉庫とか?

不動産テックやさきほどの自動化、自動運転技術によって不動産の世界が変わる可能性があります。。 例えば倉庫についていえば、今までは、安い人件費を求めて工場が海外に進出していたので、港に近いところに倉庫の需要が高かったのですが、自動化で日本でも人件費かからなくなれば工場の日本回帰がおこり、倉庫が港じゃなくて内陸の工場に近いところになるかもしれません。

弊社のリサーチチームの報告ですと、自動運転の車が流しのタクシーになると、駐車場空きスペースが都心でいらなくなるかもしれないです。今日、明日のことではないですが、10年以内にそういうことがおこるかもしれないとか。例えばそういうことですね。

RJ>アセットクラスは、いかがでしょうか?

上記4つの他では、ホテルはのびていますね

RJ>インバウンドですか?

はい。ただ供給が増えすぎています。特に大阪とかですね。

RJ>いろいろアクイジションされるわけですが、こういう方が優秀だなあとかいうのがありますか?資料とか、こういうやり方は助かるとか。

業界にいらっしゃる皆さんプロフェッショナルだなとは思いますよね。どの業界もそうですけれども、さまざまな専門家とうまく仕事をする必要があって、いろんな人の協力がないとできないマーケットですので。金額も大きいですからね。バリューアップ等は特にそうですね。

RJ> REITは開発プロジェクトに投資することができませんよね?

REITさんは、安定収益を目的としたコア投資で、期中の大きな支出が出せなかったりしますので、開発プロジェクトは基本的に難しいです。

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RJ>それでは、少し個人インタビューということで、松本さんは、この業界にどういうキャリアではかかわることになられたか、お聞かせ願いますか?

私は、93年に鹿島建設に入って、開発総事業本部という部署に配属されました。

私は、最初は千葉の土地区画整理とかをやっていました、地権者との交渉等が主な業務でした。 あと、マンションや戸建等の住宅開発をしていました。

RJ>じゃあもともとも不動産なんですね?

はい、僕は、ゼネコンなんですけど不動産なんですよ。

それで、その中で、プロジェクト開発部の中に証券化のグループができて、資産マネジメント事業部に昇格してそちらに在籍していました。そこが証券化のはしりでした。

RJ>それじゃあ、本当にマーケットレベルの不動産投資家のはしりですね。

そうですね、90年代のおわりぐらい。はやかったので、2001-2003に、米国のロチェスター大学に留学し、ファイナンスのMBAを取得しました。

RJ>日本と違いがありましたか?   投資に対する考え方は、日本より進んでいますよね。

RJ>日本は、あまり IRRとかは言わないですよね。

私は、留学する前までは、そういう部署にいたので、先輩におしえてもらっていましたが、ほとんど意味がわかっていなかったですね。

RJ>今、日本の他のメディアさんなんかは、例えば配当利回り順に表示していたりしますが、それはしかし、ちょっとミスリーディングじゃないかと、もっと本質的な投資のバリューのようなものを出したいなとおもっているのですが、

そこはでも、実はある程度仕方がなくて、今から3年間のIRRを考えたとき、出口バリューを今のバリューと一緒と考えてしまうと、配当利回りが結局IRRになってしまうので、どうしてもそういう発想になるんですけど。

本当はCAPEXをかけて、ガンガン賃料あげるような絵がかけるといいんですけど、そうはあまりなっていません。でも、ほんとはそうあるべきですよね。REITって、物件を買うときはそういう絵を描いて買ったりしているので、本当にどうやって、内部成長するのかということを突き詰めると、亀田さんがおっしゃるところに近づいていくのかなあと

RJ>その辺を是非、詳しくお聞かせください。

そういう将来の成長戦略をみたうえで投資口価格が決まり、今の時価総額になっているかもしれないということです。裏を返して言えば、配当利回りが高い銘柄が決して人気がある訳ではないということです。

また、時価総額とNAV(ネットアセットバリュー=鑑定価格 – 負債)を比較したときに、NAVのほうが高いREITは、比較的お買い得だよね。といわれています。

あと償却後利回りですが、償却は、会計的措置であって本質的に必要なCAPEXとは乖離しています。分かりやすいから、みなさん償却後利回りを使っており、実際配当は償却費を控除したものですけれど、本質的バリューで考えると実は、評価が違うと思われます。

REITの配当利回りと、本質的なものを比べだすとそのあたりのGAPがあるかなとはおもいますよね。先ほどIRRがなんて話していましたが、実際REITとはちょっと考え方が違うかなとおもいますよね。

RJ>その辺りを是非、やっていきたいなと。業界の方々にお話しをきかせていただいて、結果こういうご意見がでましたとかを、回ってきてですね。

RJ>それで、お戻りになられた後は、

MBAを取得した後、私は日本に戻りまして、2003年からまた資産マネジメントを引き続きやりまして、2006年に退職し、ドイツ証券に移りました。 RREEF(リーフ)といって、当時、不動産投資部門のブランド名でした。今と同じように海外の投資家の資金で日本の不動産に投資する仕事ですね。

RJ>そうすると、もう13年ですね。

そうですね、グローバル投資で13年、鹿島で13年です。

RJ>グローバル企業での仕事はいかがですか?日本の会社、ヨーロッパの会社、アメリカの会社を経験されているわけですが、

RJ>私がロームでIRをやっていたときは、ヨーロッパは日本の感覚に近く、アメリカはもっとせっかちというか、結果投資家があうんの呼吸でヨーロッパはあわかってくれるけれども、アメリカのアナリストは突っ込みが適格で鋭いとかいう印象でしたが。

ドイツ証券なんですけど、風土としては、RREEFというのはバンカーズトラストというアメリカの投資銀行を買収した際の不動産部門だったので、結構アメリカのカルチャーでしたね。

RJ>日本の企業文化との違いは?

REIT業界の専門家も、グローバルレベルの投資家について知りたいと思われるかたも多いとおもうのですが、   英語がハードルにはなりますよね。情報収集もそうですし、コミュニケーションに必要になりますよね。

RJ>なるほど。それは不動産業界でも不可欠なスキルですね。でも英語でそれができるのは難しいかもしれませんね。

はい、でもある程度できれば逆にいうとなんとかできるということかもしれませんが。

会社によってちがいますけれども、ドイツ証券はなんでもやらせる会社で、基本全部できないとだめでした。ソーシング、アンダーライティング、評価、英語でメモをつくって、デューデリジェンス、最後エグゼキューション、TAX、会社をつくって。全部自分でやるわけではなくてプロフェッショナルと協力してですが。

会社によっては部門ポジションにわけ、分割してやるところもあります。

RJ>全部できると、楽しいですよね?

はい、私は楽しかったですね。人によってですよね、もっと専門化したい方もいらっしゃると思いますので。 不動産から不動産投資業界にこられる人もいれば、金融から来られる人もいます。私は不動産畑の出身ですね。

RJ>やはりカルチャーがちがいますか?

不動産の専​​門家の中には、英語が上手に話せない人もいます。英語に堪能であれば、おそらく日本でそのスキルを使う場所として不動産業界を選ぶことはないのでは、ということもありますが。 しかし、最近は、不動産業界においても国際化が進み、その傾向はかわっていきているとは思います。

RJ>エポック的なお話を聞かせてください

鹿島の時に東大の、アントレプレナープラザの案件を担当しました。

東大発のベンチャー企業が入居できるビルで、ユーグレナなどもそこに入居していました。

東大の土地を初めて外部投資家に賃貸してビルを建てたという結構画期的な案件で、確か会社で表彰もありました。

RJ>なるほど、東京大学初ですか、すごいですね。

大阪心斎橋のユニクロの店舗も印象的でした。

2010年の購入当時すごい高いといわれたんですが、REITさんに利益を出して売却しました。200億円級のビルで、当時その規模の大阪の商業施設に資金を出すひとはあまりいませんでしたが、ドイツ投資家の資金で購入しました。

それ以来、私はずっと大阪押しなんですよね。

RJ>ご出身も大阪だったりしますか?

いいえ、私は東京です。

弊社に入ってからも大阪のオフィスビルのプロジェクトに取り組みました。2015年購入当時の賃料から、約40%上げました。

RJ>それは、すごいですね。

全国のレジのポートフォリオを取得して、レジ用のAMを立ち上げたりとかですね。

RJ>なるほど楽しそうですね。

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RJ>本、趣味、興味等は?

個人的にすきなのは、藤巻健史さんと山崎元さんですね。 山崎さんは、わかりやすく説明されていて、また、考え方が近いなあと。

私はおそらくデイトレードとか全くむいてないですね。。 為替は全くダメなんですよね。だめというのは、FXは丁半博打のギャンブルだと思っています。

為替は博打ですっていって納得する人と、でも主婦でも勝てますよねよねって反論される方と。

でも、博打だから主婦でも勝てて、プロが必ずしも勝てないと私は思っているわけです。

RJ>藤巻さんは為替に強かったんでしょうね。でも不動産とかに強いのかわかりませんね。 例えば、投資銀行のトレーダーの人が、最高のパフォーマンスの不動産を選ぶことができないかもしれませんし、実際、そういう印象はありますね。

一方、例えば個人的に将来的には円が安くなると思っていますけど、為替で儲けようっていうのは、一年タームでは難しいです。まあこのあたりは、REITと関係ないですけど。

RJ>なるほどですね。いろいろ話は尽きませんが、本日は、お忙しい中、ありがとうございました。

 

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