地震センサーデータ改ざん問題について

大阪大学の元准教授が、地震データを改ざんして論文を書いていた問題で、

大阪大学は調査の結果を以下の資料とともに報告した。

https://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/topics/2019/03/files/0315_01PDF

元本学大学院工学研究科准教授(以下「元准教授」という。)の熊本地震等にかかる論文にねつ造等の不正が疑われるとして、平成 29 年9月 27 日付け、平成 29 年 11 月 22 日付け、平成 29 年 12 月 12 日付け、平成 29 年 12 月 27 日付けの4回(他に追加資料の提出あり)にわたり申立書の提出があった。
これらの申立てを受け、「大阪大学における公正な研究活動の推進に関する規程」に基づき、予 備調査の実施を経て本調査委員会を設置し、研究活動上の不正行為の有無を調査した。

<中略>

以上、元准教授の不正の内容が我が国の地震研究における学術的結果・価値に及ぼした影響 は多大であり、長期かつ多数に亘り行われていたことから、悪質度は極めて高いと判断した。

<中略>

○競争的資金等の執行停止等の措置について
元准教授は平成 29 年 12 月 28 日付けで本学を退職したため、同人が平成 29 年度交付を受けた科学研究費助成事業の研究課題については廃止届を提出し、承認済みである。

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大阪大学の報告に含まれる、詳細資料の主な内容

https://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/topics/2019/03/files/0315_02PDF内容。

特定不正行為と認定した論文5編について

論文リストNo.1 元准教授は、平成28年4月16日熊本県益城町内で熊本地震の本震を3臨時観測点で観測したとし ているが、実際には観測データは存在せず、他の観測点で得られた地表面記録を基にねつ造し たものと認定した。

論文リストNo.2, No.3 元准教授は、平成28年4月17日九州自動車道周辺の5地点、平成28年6月4日西原村の4地点、平 成28年7月3日南阿蘇村の3地点において熊本地震の余震を観測したとしているが、その記録は他 の観測点で得られた地表面記録を基にねつ造したものと認定した。

論文リストNo.4 元准教授は、平成28年12月25日以前、強い地震動を受けて劣化した地盤の剛性が、時間をかけ て回復するプロセスを直接測定したとしているが、本震直後から複数回にわたり断続的に観測し たとする一連の観測結果は事実ではなく、ねつ造したものと認定した。また、観測したとする内容 を信頼させるため、理論計算値を改ざんしたものと認定した。

論文リストNo.5 元准教授は、平成28年9月13日に大阪大学出版会から刊行した書籍「被害地震の揺れに迫る- 地震波形デジタルデータ付き-」に含まれるデータの出典元である論文について、地震観測デー タをねつ造したものと認定した。

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大阪大学の本件に関するリリースのページ

https://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/topics/2019/03/15_01